Vacation side B

僚と旅行なんて滅多に無い このチャンス逃してなるものか!
そう思って1日ハンマー無しだなんて大きなこと言っちゃったけど
我慢できるかしら?・・・。

「四六時中一緒にいるから新鮮味が足りないよな〜。」
「悪かったわね!」
傷ついた自分を見せたくなくて 話をそらせてみたけど やっぱり・・・

(新鮮味が足りないか・・そうよね。よし!海と夏の力を信じよう!!
 でも、フフ・・・鼻歌なんか歌っちゃってる・・・)

海に付いた途端僚が理不尽なことを言い出して ケンカになった
「なんでせっかく海に来たのに、あたしがビーチに出ちゃいけないのよ!!」
「お前みたいな男女がビキニ着てビーチに居たら公害なの!」
「なによそれ!!ただ単にあんたのナンパの邪魔だって言いたいだけでしょ!!」
「ピンポ〜ン。おおっと香ちゃん今日はハンマーなしだよね。」
「ぐぐぐ・・。わ、わかったわよ。離れていれば良いんでしょ!お好きにどうぞ!!」
「おい香、あとこれ着けてろよ。」
「何これ?」
「パレオ。お前なぁ、日に焼けたら赤くなるタイプだろうが。少しは頭使えよ。」
「あ、ありがとう・・・。」
私の水着と同系色のパレオ。こんな事一つで何でも許せちゃう私って・・・・
バカなんじゃ・・・?

「お嬢さ〜んっ、僕と・・グフッ・・・。」

(あ、また撃沈してる。いい気味。でもこの沸々と沸いてくる嫌〜な感じの収めどころがないわ・・・)
(あーなんかばかみたい わかっていたはずなんだけどな
 僚と海に来たっていいこと無いのに 私も出会い探したほうがいいかしら・・・)
(よっこいしょっと。あー座りすぎておしりが痛い。海に来たんだから海に入らなくちゃね。
 このパレオ歩きずらいな・・・。取っていくか、ちょっとだけだし・・・。)
僚がナンパしているのが視界の隅に見えたけど無視した

「お姉さんひとり?」
突然声をかけられて驚いた
(17、8くらいかな〜。地元の子?)
「んー、まぁね。」
「んじゃ、僕と遊ぼうよ。」
(え?事の成り行きが良く分からない。)
「ちょ、ちょっと!!」
「いいから、いいから。」

少年に連れられて入った洞窟は本当に素敵で・・・
こんなところに僚と普通の恋人同士みたいにして来られたらどんなに良いかと思った
(ふーんだ、ウカウカしてるといい男にさらわれちゃうんだから・・・)
そんなことを考えながら 何と無しに少年と挨拶をかわした

「あの人、香の彼氏?」

その言葉にギクリとした
(彼氏・・・彼氏なんだろうか・・・)
ナンパしていた間抜けな僚の顔が浮かんだ
「仕事上のパートナー、同僚よ。」
自分で言った言葉に自分で傷ついてる
そのあと少年とどんな話しをしたのかはあまり覚えていなかった
ただ今夜12時に再び会う約束を交わしたことだけ それだけは記憶にとどめた

「そろそろ回収に行ったほうが良いみたいだよ、香。」
撃沈して小さくなってる僚が見えた
(ったく、バカなんだから・・・)
どこかほっとした
「じゃねカイト。また今夜。」

「ちょっと僚、何小さくなってるのよ。部屋に帰るわよ。」
「ああ。」
「ほんとこの夏空に似つかわしくない程辛気臭いわねー。」
嬉しさが嫌味の言葉に変わる ・・・・ごめん

部屋に戻って食事をとると僚は疲れていたらしく 部屋のソファでテレビをつけたまま眠り込んでた
(こんなに色気のないカップルの旅行もないもんだわね・・・)
「僚、風邪引くわよ。ベッドに・・・。ちょ、ちょっと!いっ痛い!!」
「あ、悪ィ。大丈夫か?」
背中に回された腕が日に焼けた肌を擦って痛かった
それよりも高鳴る鼓動が 昼間の光景が 胸が痛い
「もう、ちゃんとベッドで寝なさいよ!あたしシャワー浴びてくるから。」
約束の時間ギリギリ 浴室から出ると僚はベッドの上で寝ていた
「焼けたね、僚・・・。」
タオルで髪を手早く拭い 僚に薄めの布団を掛けて部屋を出た 

月明かりの下 昼間とは全く違う海に驚いた
ビーチの入口で待ちくたびれた少年が見えた
「ごめん、遅くなちゃった。」

誘われるまま入った洞窟 言葉にならないほどきれいな光景が広がってた
「きれい・・・。」

(僚にも見せたかったな・・・)

「っっくしょんっ!。」
(やだ、僚の事言ってられないや・・・、帰ろう)
少年に手を引かれながら帰った
私は何をしに来たんだろう
僚は少しは楽しんでくれたのかな 少しは私を見てくれたのかな 少しは・・・

「香。」
「(!!)・・・リョウ。」
以心伝心みたいで嬉しかった 自然と僚に駆け寄った
「誰だ?あの子。」
「ここで知り合った地元の子よ。凄くきれいな洞窟に連れて行ってくれたの。」
「ふ〜ん。」
「後で僚も・・・」

「!!!」

突然の出来事に全身が硬直した 真っ白になった
思わずハンマーを振り落とした
「青少年の前でなんてことすんのよ!!」
「香ちゃんハンマーなしじゃ・・・。」
「時間切れ。もう12時まわってんのよ!」
嬉しさと恥ずかしさでいっぱいだった

全部いい思い出・・・かな?

Vacation

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