RYO

  煙草と酒と硝煙と
  そして少々の快楽。
  俺の嗜好はどれもholicの域に達していた。

  消化するような日々。
  人生というものがパンのようなものならば
  俺は早くついばまれて無くなるように、
  引きちぎっては放る日々を送ってきた。

  見たくも無いものを見
  聞きたくもないものを聞き
  やりたくも無いことをやり
  もはや、蝕まれすぎて何も感じなくなった。

  汚れた自分を嫌悪し、恐怖した夜もある。
  発狂しそうになった夜も数え切れない。
  そんな時は決まって、バカのひとつ覚えのように
  貪った。


  「スキダ」も
  「アイシテイル」も
  「オマエガホシイ」も
  簡単に使えるこの俺に
  甘い言葉のひとつも吐かせないお前に
  この手は、何かしでかしてしまうのではないかと
  今は、ひどく怯えている。


  笑っちゃうだろ?
  この俺が怯えてるんだぜ。
  時々手が震えるんだぜ。


  お前を失うのが怖いんだぜ。


  幸と不幸の均衡がとれていて
  俺の不幸の代償がお前なのだとしたら
  神ってやつを信じてやってもいいかと思う。
  そうすればこの先の不幸なんぞ有りうるはずもない。

  「辛くはないか?」
  「幸せか?」
  「そばに居続けてくれるのか?」
  「俺を愛し、求めつづけてくれるか?」
  お前に確認したいことは山とあるのに
  その勇気がない。

  全くの根性なしだ。

  笑ってくれ。
  罵ってくれていい。
  それが今の俺だ。

  最近、その、ちょっと嗜好が変わったんだ。
  煙草と酒と硝煙と
  そして

  少々のお前。


  俺の嗜好はどれもholicの域に達している。

 



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